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脱皮する


ひたすら仕事をしていたら9月も中旬になっていました。
制作するのは好きですが、さすがに2ヶ月近く手元の制作作業だけだと、
ちょっと心が塞がってきます。
  
  
 
気分転換になればいいなと、
誘われるままに千葉の生産地へ行ってきました。
 
 
ハーブの生産者さんは、私よりも年上ののんびりしたご夫婦。
お互いにいたわりあい励ましあいながら、
それでもハーブが大好きで生産し続けていることが、
一目見て伝わってきます。

ハウスの中にあるだるまストーブと青くペイントした椅子。
 
  
温かい空気が流れて、ハーブの香りとともに、
おだやかな風を感じることが出来ました。
 
のんびりしすぎてあまり写真を撮ってこなかったのですが、
一つ大事なことを教えていただきました。
 
  
  
ジェンテの入り口の隣にある植え込み。
本当はお隣のカフェ横尾さんのものなのですが、
なかなかお手入れが出来ないとのことで、
ここだけは私が自主的にお手入れさせてもらっています。
  
 
引っ越して来たときは、巨大なアイビー軍団の傍らに、
30センチくらいの背丈のオリーブとレモンユーカリが植わっていました。
  
巨大アイビーの群れから虫が発生したこともあり、
アイビーは一度すっきり根元から剪定してしまいました。
(それでも毎年旺盛に伸びて来て、今年もすでに3回剪定をしています)
また、オリーブとレモンユーカリは成長するように、
お日様が当たるように、加湿になりすぎないように注意して、
大雪の日は枝が折れないよう数時間ごとに雪を振り落とし、
おかげさまで今では2メートル以上はあるでしょうか、
見上げるくらいの背丈へと成長しました。
  
 
しかし、このところレモンユーカリのざらざらした幹の皮が剥けて来て、
青白い肌の色が見えて来て、ちょっと心配していました。
  
  
今回の生産者さんが育てているりっぱなレモンユーカリの幹もよく見ると、
ぼろぼろと皮が剥けて、下から真っ白い地肌が見えています。
 
さらには脱皮が終わって、
サルスベリの木のようにつるつるしているものもあります。
 
 
驚く私に、
「レモンユーカリは自分で脱皮を繰り返して大きくなって行くのだよ」
と教えて下さいました。
  
「3年おきくらいに脱皮をして自分できれいになって行くんだ」
とのこと。
 
  
 
そうか、あれは成長の印なんだ!
 
成長して大きくなって、古くてごつごつした皮を自ら脱いで、
そして、きれいになってまた伸びて行くんだ!
 
  
 
 
そう思ったら、レモンユーカリの木がとてもとても大切な木に思えて、
ジェンテに戻ってからその幹を確認しましたところ、
まだ脱皮し始めたばかりの、大人になりかけの木がそこにありました。
 
 

 
 
  
 
 
最近たくさん耳に入ってくる雑音(アドバイス?やうわさ話など)と
もの作りの狭間でちょっと心が弱っていたようで、
この教えはぐんと胸の奥に響き、ぐいっと杭を打ち込まれたようでした。
  
 
 
 
レモンユーカリのたくましさを見習って、
私もここで自ら大きく脱皮したいと思います。
 
  
  
 
独立してから20年、ちょっぴり余裕ができて初めて周りが見えて来た時、
私とはまったく違うスタンスで仕事をされている方がけっこう多いということに
ようやく気づきました。
  
 
 
賛否両論はあるでしょうが、
自分のこのたぐいまれなまでの仕事へのストイックさを
自身で褒めてあげたいと思っていたときでした。
   
   
 
 
私はこう見えて、仕事への志は高く、
どこまでもどこまでも高く、
そして、つねに満足するということがないまま、
自己反省を繰り返すという日々を過ごしてきました。
  
まわりに褒めていただいても、
「もっとできたのではないか」
「別のアプローチがあったのではないか」
などと、常に反省して
「次こそは!」
という思いのままここまで歩んで来てしまったように思います。
 
  
 
 
結果的な問題はとにかく、
常に仕事には100%以上の力を出しきっていましたし、
そして、もうこれ以上はできないと思いながらも、
次にもっと高いハードルが来てしまうので、
さらに力を絞り出してでも体当たりして来たように思います。
 
  
 
こうしたまじめで体当たりな仕事の仕方は、
この時代にはもう古いですよね、きっと。
 
 
でも、だけど、だからこそ、
 
私は突き抜けたいのです。
 
  
 
 
  
いろいろな分野の方と仕事でご一緒させていただきます。
私はのんびり見えるのかもしれませんが、
かならずこうお話させていただきます。
「どうせやるなら唯一無二のものを作り上げましょう!」と。
 
  
 
今このメンバーで出来る最大で最高のものを、と。
そして、他の誰にもまねの出来ないことを、と。
 
 
  
 
私一人での仕事でも、いつでも思っています。
私でしか出来ない最高の仕事を今ここに!と。
 
 
 
 
 
  
  
 
でも、そうした熱い気持ちを表にいつも出しているのは、
とっても格好が悪い気がして、
東京生まれの見栄っ張りな自分のスタイルではないし、
のんきでぼんやりした自分も本来の自分でもあるので、
その気持ちを周りの皆さんに強制することはありません。
 
 
 
  
 
 
花の仕事は本当に体力と思考力と思いやりとセンスが必要な、
見かけとはちがう大変な仕事だと思います。
 
  
 
 
 
だからこそ、
どうせ大変なんですから、
せっかくやるなら今持つ力を惜しみなく出し切って仕事をしようと
いつも思っていますし、
これからもおそらくそれは変わることはないと思います。
   
 
  
 
 
 
 
心に再確認して、
今日の自分が一番新しくて素敵な自分でいるために、
私も脱皮を繰り返して行きたいと思います。
  
 
  
 
  
  
ありがたいことに、
秋から冬にかけて、仕事のご依頼をたくさんいただいております。
  
 
 
一人になってゆるゆる仕事をするという、
引っ越しの当初の目的からは大きく外れていますが、
体力の続く限り、望んでいただける限り、
私はやっぱり成長して行きたい!
 
  
 
 
ついでに、皮下脂肪も脱皮できるといいですけれど。
  
 
 
そして、今更ながら熱く語ってしまった自分を反省・・・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

2014-09-13
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